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ナレッジグラフとは|検索との違いと経営判断での使いどころ

公開日 2026年10月1日更新日 2026年10月3日読了目安 約11分執筆: ラトリス編集部

ナレッジグラフとは|検索との違いと経営判断での使いどころ

ナレッジグラフとは、人・設備・顧客・契約といった「実体」と、その間の「関係」を点と線でつなぎ、関係を辿って情報を探せるようにした仕組みです。同じ言葉を含む文書を探すキーワード検索と違い、「何が何とつながっているか」から探せる点が特徴です。

社内の知識整理や生成AIの根拠づけに使う話が増えていますが、効くのは「グラフ化した範囲のデータ」までです。経営判断に使うなら、どこまで効いて、どこから別の手段が要るのかを先に押さえておくと判断しやすくなります。

ナレッジグラフの要点

  • ナレッジグラフは、実体(ノード)と関係(エッジ)で情報を表し、関係を辿って探す仕組み
  • Google が2012年に発表して広まった。キーワードの一致から、実体の理解へ移る発想
  • キーワード検索は「同じ言葉」、ナレッジグラフは「つながり」を探す。見るものが違う
  • 社内で作るには、関係の設計・データ整備・更新の運用が必要。止まると古いグラフが残る
  • 対象は自社でグラフ化した範囲に限られる。他業界の同型事例は、別の探し方が要る

この記事でわかること

  • ナレッジグラフの定義と、Google が示した考え方
  • 実体と関係でデータを表す仕組み(トリプルとは何か)
  • キーワード検索・ベクトル検索・生成AIとの違い
  • 社内で作るときの負担と、経営判断で効く範囲・効かない範囲
  • 社内にない他分野の事例を、構造で探す方法

想定している読者は、社内の過去案件や稟議書を判断に活かしたい事業責任者、導入を提案された情報システム担当、生成AIの活用を検討している経営層です。

サーバーとネットワークのイメージ
データをつなぐ仕組みのイメージ(写真: cookieone / Pixabay)

ナレッジグラフとは何か

ナレッジグラフは、情報を文書の山としてではなく、実体とその関係のネットワークとして持つ考え方です。実体とは、人、会社、設備、製品、契約のように、ひとつに特定できる対象を指します。

この言葉が広く知られたのは、Google が2012年5月に公式ブログ「Introducing the Knowledge Graph: things, not strings」で発表してからです。発表の趣旨は、キーワードの文字列(strings)の一致を探す検索から、実世界の実体(things)とその関係を理解する検索へ移る、というものでした。

発表時点の説明では、5億を超えるオブジェクトと35億以上の事実・関係を含むとされています。古い数字なので、現在の規模を示すものではありません。

Google が挙げた用途は、大きく3つです。

  • 曖昧さの解消(同じ名前でも建造物なのか人物なのかを区別する)
  • 要点を絞った要約
  • 関連する実体への広がり(ひとつを調べると、つながる情報も見える)

情報源には、Freebase や Wikipedia などの公開ソースが使われたと説明されています。いま企業の文脈で語られるナレッジグラフは、この考え方を社内のデータに応用したものです。

仕組み:実体と関係をトリプルで表す

仕組みの核は、「主語・述語・目的語」の3つ組(トリプル)でデータを書くことです。たとえば「A工場 — 設置している — 設備B」のように、2つの実体を関係でつなぎます。

W3C(Web の標準化団体)の RDF 1.1 Primer では、RDF という記述方式をこのように説明しています。主語と目的語がグラフの点(ノード)になり、述語が線(エッジ)になります。複数のトリプルが同じ実体を共有するので、ひとつの実体から関係を辿っていけます。

ナレッジグラフを分解した図。ナレッジグラフ(実体(ノード)(人、設備、顧客)、関係(エッジ)(担当する、納入する、契約する))
ナレッジグラフを構成する要素(例)

表現方式は RDF のほかに、プロパティグラフなど複数あります。どれを選ぶかは用途と運用の体制で変わるため、導入前に情報システム部門と詰める項目です。

なお、実体や関係にどんな種類を置くか、という設計図をオントロジーと呼びます。「顧客」「契約」「担当」といった言葉の定義と、それらの結びつき方を決めておく作業で、グラフの使い勝手はここで大きく変わります。

キーワード検索や生成AIとの違い

違いを一言でいえば、キーワード検索は「同じ言葉」を、ナレッジグラフは「つながり」を探します。どれが優れているかではなく、探しているものが違います。

手段探すもの向く場面限界(一般的な指摘)
キーワード検索同じ言葉を含む文書用語や固有名詞が分かっているとき表現が違うと見つからない
ナレッジグラフ実体と実体の関係関係を辿って関連情報をまとめたいとき設計・整備・更新の工数がかかる。対象はグラフ化した範囲のデータだけ
ベクトル検索意味の近い文章言い換えを含めて探したいとき関係の根拠を示しにくい
一般的な生成AI一般知識からの回答壁打ち・要約出典が明示されない場合が多い
ラトリス(Latris)の構造知検索同じ構造の公開事例と失敗の型他業界の同型事例を出典付きで確認したいとき公開記事が対象。社内データのグラフ化の代わりではない

最近は、生成AIに回答させるとき、ナレッジグラフを参照させて根拠のあるつながりを示させる使い方(GraphRAG と呼ばれます)も注目されています。ただ、効果の大きさは対象データと設計の出来で変わるため、導入前に自社のデータで試して確かめるのが現実的です。

社内で作るときの負担と、経営判断で効く範囲

社内にナレッジグラフを作ると、過去の案件や稟議書を「関係」から辿れるようになります。一方で、作る負担と、効く範囲の限定を見ておく必要があります。

作る側の負担は、主に3点です。

  1. オントロジーの設計: どんな実体と関係を置くかを決める。ここが曖昧だと、後から検索しても欲しい答えが出にくい
  2. データ整備と入力: 稟議書や議事録から実体と関係を取り出して登録する。手作業が多いと続かなくなる
  3. 更新の運用: 新しい案件を入れ続けないと、古いグラフが判断を誤らせる恐れがある

効く場面は、社内の過去案件を関係で辿りたいときです。「この顧客に関わった担当者と、そのとき使った設備と、契約条件」のようなつながりを一度に見られます。同じ言葉を含まない資料でも、同じ実体につながっていれば拾えます。

効かない場面もあります。グラフに入っているのは自社(と、せいぜい同業)の案件だけなので、他業界で同じ判断がどう決着したかは見えません。新規参入や撤退のように、社内に前例が少ない判断では、ここが足りなくなりやすい点です。

導入の前に決めておきたいこと

グラフは作って終わりではなく、更新し続けることで価値が保たれます。更新を担当する人と頻度を先に決めておくと、運用が止まって古い情報が残る事態を避けやすくなります。

社内のナレッジグラフでは見えない、他分野の事例と失敗の型

社内のナレッジグラフが扱うのは自社の記録なので、他業界で同じ構造の判断がどう決着したか、どこで失敗したかは入っていません。それを確認する手段は、社内データとは別に用意する必要があります。

この記事は用語の解説が中心のため、ここでは個別の事例は紹介せず、探し方の違いを説明します。テーマに合わない事例を並べると、かえって判断を誤らせるおそれがあるからです。

ラトリスは、「同じ言葉」ではなく「同じ構造」を探す構造知検索サービスです。公共記事80万件規模を因果関係や構造パターンに変換した World Graph(知のグラフ)を検索し、業界を越えた事例を出典付きで返します。関係で辿るという発想はナレッジグラフと近い面がありますが、両者は同じものではなく、見ている範囲が違います。社内のグラフは自社の記録、World Graph は公開記事です。

結果は5層レポートで返ります。

層内容
① 問題の構造化「誰が・何を・どう動かすか」に翻訳する
② 関連知見前提の確認、相場観、論点の抜けを補う
③ 構造の似た事例業界を越えた事例と、類似点・相違点、参照元記事
④ 失敗の型同じ構造で起きた失敗パターン
⑤ 統合・示唆与件に照らした示唆、避けるべき型、次の一手

レポートは判断を代行するものではなく、事例と失敗の型を出典付きで揃えるところまでを行います。判断は人が行います。レポートの見本はこちら、仕組みはこちらで確認できます。実際に自分の問いで試したい場合は、14日間の無料トライアルやデモ依頼があります。

本棚に並んだ本
社内の記録と、社外の公開事例は別の棚にある(写真: congerdesign / Pixabay)

ラトリスの料金・契約とデータの扱い

料金は月額98,000円(税別)/1利用者で、初期費用はありません。14日間の無料トライアルがあり、開始時にクレジットカードの登録が必要です。支払いは月払いか年額一括前払いで、年額一括は中途解約の返金がありません。月払いは次回更新日の前日までに解約できます。

利用には Claude(Opus・拡張思考)の契約が別途必要です。Claude Desktop または Claude Code から使うため、新しいアプリの操作を覚える必要はありません。セットアップは手順書を Claude に渡すと自動で進み、所要時間は10〜30分です。

データについては、次の点が公表されています。

  • 利用者の与件や判断基準を蓄える Personal Graph は、ローカル環境に暗号化して保存され、クラウドには保存・複製されない
  • クエリ本文と構造化データは、クラウドに永続保存されない
  • World Graph は公開記事のみで構築され、機微情報を含まない

契約条件の詳細は特定商取引法に基づく表記にあります。社内データそのものをグラフ化したい場合は、企業向けの「自社版 World Graph 構築」が別建て契約で用意されており、対象データの範囲や構築環境は個別に設計します(要相談)。

こんな人におすすめ / おすすめしない人

ナレッジグラフを検討するとよい人

  • 社内に過去案件や契約、設備の記録が多く、関係から辿れると助かる
  • 更新を担当する人と運用の体制を確保できる
  • 生成AIに、社内データの根拠を参照させたい

ラトリスの探し方が合う人

  • 新規参入・撤退・多角化・事業再構築で、社内に経験者も前例もない
  • 他業界で同じ構造の判断がどう決着したかを、出典付きで確認したい
  • 同業の事例だけでは前提が似すぎて、比べる材料が足りない

おすすめしない人

  • 社内の文書やデータを整理するだけが目的の人(ラトリスは社内データのグラフ化の代わりにはなりません)
  • 判断そのものを任せたい人(ラトリスは事例と失敗の型を揃えるもので、判断は人が行います)

よくある質問

ナレッジグラフとオントロジーは何が違いますか?

オントロジーは、実体や関係の種類と定義を決める設計図です。ナレッジグラフは、その設計図にそって実際のデータを入れたものです。設計図が先にあり、そこにデータが載るという関係です。

ナレッジグラフは SEO にも関係しますか?

関係します。検索結果の右側などに出る情報パネルは、ナレッジグラフにある実体の情報を使って表示されると説明されることが多く、運営者情報や所在地を正確に整えることがその前提になります。ただ、これは検索エンジン側の話で、社内で作るナレッジグラフとは別の取り組みです。

小さく始めることはできますか?

できます。たとえば「顧客・契約・担当者」の3種類の実体だけに絞って試すと、設計と運用の負担を見積もりやすくなります。範囲を決めずに全社のデータを一度に入れようとすると、設計が終わらず運用が止まりやすいと言われます。

ラトリスのレポートは、ナレッジグラフの出力ですか?

ナレッジグラフの出力とは説明していません。ラトリスは、公開記事を因果関係や構造パターンに変換した World Graph から、同じ構造を持つ事例と失敗の型を、参照元つきで返すサービスです。

社内の過去案件をラトリスで調べられますか?

標準の World Graph は公開記事のみで構築されており、社内の案件は含まれません。利用者のデータは、明示的な希望がない限り World Graph に統合されません。社内データを対象にする場合は、別建ての「自社版 World Graph 構築」を個別に相談する形になります。


ナレッジグラフは、社内の記録を関係で辿るための仕組みです。社内にない前例は、公開されている他分野の事例から構造で探す、というように役割を分けて考えると、判断材料を揃えやすくなります。

実物の5層レポートを、無料でご覧いただけます

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